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臨床音楽療法学会第17回大会に参加して

2023年10月22日(日)に神戸大学鶴甲第2キャンパス内にて、日本臨床音楽療法学会の第17回大会が開催されました。「音楽が臨床音楽に変わるとき」という大会のテーマに惹かれ、行ってきました。


午前中は6人の演題発表がありました。6人のうち4人が、東京の「ノードフ・ロビンズ・トレーニングプログラム」の卒業生でした。私は実は、このテーマを聞いたときに演題に応募しようかなと思い、結局間に合わずあきらめたのですが、「臨床音楽」への関心の高い人がノードフ・ロビンズ音楽療法士の中に多いことを実感しました。


ある発表においては、クライアント(Cl)が発した声や楽器の音とセラピスト(Th)が働きかけた音楽の両方が、動画だけでなく楽譜も使って視覚的にも詳しく示されており、Cl-Th間の密接な音楽的やり取りが細部までよくわかりました。私は、その発表をしたThのピアノが、Clの女の子のキーボードを、柔らかくて深みのある音で支え、そしてClもピアノの音に全身で応じている二人の音楽的対話に感動していました。もっともっとClの出す音を十分に聴こう、言葉で会話する時に相手の話をゆっくり聞くのと同じくらい、音もじっくりと聴こうと思いました。なぜか、音楽の時は最後まで音を聴かずにパッと反応してしまっている自分がよくいるんです。


午後は、大会長の講演と4人のシンポジストが登壇するシンポジウムが、「音楽が臨床音楽に変わるとき」のテーマで行われました。大会長の小平先生は、ノードフ・ロビンズ音楽療法と分析的音楽療法の両方の資格を持って実践している方で、Clの心の奥にある「成長核」にたどり着くための臨床的意図を持った音楽と、意図せずして起きる自然発生性(spontaneity)のバランスを、言葉とイメージで分かりやすく説明されていました。私は自然発生性の恩恵は普段かなり受けている感覚がありますが、臨床音楽を意図的に使う力がまだまだ足りないなと痛感しました。   


シンポジウムは、長年の音楽療法実践や教育現場での話から理論的な話まで多岐にわたっていました。「臨床音楽」についての理論を精神科医の阪上先生が話しておられましたが、これは個人の「心理」よりさらに深い存在の次元の話のように私は感じました。阪上先生の話が分かるには私にはまだ長い年月が必要ですが、音楽療法の世界の奥深さが感じられました。 


この日一日、とても充実した気持ちになって帰宅しましたが、不思議だったのは、その次の日の私がとても身軽にスイスイと動けていたことです。普段の休みの日には、「これをして、あれをしよう」と頭の中で計画を立てても全然その通り行かないのですが、この学会の次の日には、何も計画しなくてもどんどん身体が動いて物事が完了していました。心が動いてエネルギーが補給されるとこんなに動けるようになるんだなぁという驚きが、臨床音楽療法学会参加の大きな「おまけ」として最後に体験できました。


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