2026/1/5 第64回勉強会を実施しました〜文献:芸術療法と治療者〜
- 2月18日
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文献:斎藤考由(2022).芸術療法と治療者.日本芸術療法学会誌Vol.53-2
<文献を発端としての議論>
◻️理論が臨床実践を深める:
「症例研究の積み重ねによって人間の普遍的本質へ向かう」という一文がありましたが、普遍性が理論なのであり、それを個々の事例に合うようにアレンジして実践していくのだという意見が出ました。ということは、臨床実践一つ一つをその場に限定的な事象としてではなく汎化して考えるために、理論は必須です。さまざまな理論を大学などでみな一通り習っているはずですが、自分の理論的背景を意識している音楽療法士が日本では少ないのか、理論と臨床実践をつなげるのが不十分な印象です。また、様々なジャンルの音楽療法アプローチ全てに普遍性を持つ理論は今のところ無いのかもしれず、異なるアプローチ間で議論が展開しにくい原因の一つではないかと思われます。
◻️日本と欧米での音楽療法の考え方の違い:
日本では、治療者が専門家として患者の困難を取り除くという考えがまだ浸透しています。しかしこの文献では、治療者はクライアントの自助や自己治癒を支えるためにそこに存在する人であり、欧米の音楽療法コースで学んできた、クライアントの自立やエンパワメントを目的としてセラピーが行われるという考え方と一致します。日本の音楽療法は、高齢者の集団療法から広がってきた経緯もあり、自立してセラピーの終結に向かうのではなく、伴走し続ける福祉モデルの感覚が強いです。時にはセラピー内の心地良さが、自立を妨げることもあります。クライアントの成長を阻害しないよう、セラピスト自身が自分の在り方、感じ方に意識的である必要があるのだが、一朝一夕にできることではありません。さまざまな勉強をしたり試行錯誤したりしながら、自分にしっくりくるものを探し、時間をかけて人として成長していくほかはないのでしょう。
上記のように、欧米での音楽療法を経験してきているからこそ感じられる、日本の音楽療法の現状への気づきや意見がいろいろ出て面白い勉強会でした。

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