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2022/07/04 第22回勉強会を実施しました〜臨床的プロセス(NR音楽療法より)〜

内容:第15章『臨床的プロセス』,「障害児の音楽療法~ノードフ・ロビンズ音楽療法の質的リサーチ~」ケネス・エイギン(著),中河豊(訳),ミネルヴァ書房,2002.  


オンラインにて、上記文献を入口に、様々な意見交換が行われました。


ポール・ノードフの音楽は、日本のいわゆる童謡とは全く違います。これは、ノードフ・ロビンズ(NR)音楽療法の特性なのか、それともアジアと欧米の違いなのでしょうか。日本と欧米の人々の感じ方、感情の流れ方の違いもあるのでしょうか? 日本の最近の子どものうたはリズミカルで表現が豊かなものも多く、これから子供たちの感じ方も変わっていくのかもしれませんが、まず周りの大人も変わっていく必要があるかもしれません。 ・自己の内側をゆっくり感じながら内面からの変化を促していくのが音楽療法であり、自分という円の外側である「社会」との接点でどう行動するかが重視されているのが最近の教育であるように感じられます。


・幼児教育も、「子どもがこうなるように、これをやりましょう」と目的が先に来ることが多いです。しかし、先に目的を提示されないと動かないというそのこと自体が問題なのではと感じられます。音楽療法も「これをすればこうなります」のような説明がまず求められがちになっていますが、言葉で説明してすぐに理解してもらえることは少なく、それが分かるためにはその人も感じて変化する必要があるのかもしれません。


・指示的であること(これをするんだ)と完全な自由(何をしてもいい)の中間の難しさの話題より。わたしたちは、この両極のどちらかになってしまいがちです。中間の、緩い枠組みの中で子どもをどのように導いていくか。この資料のノードフとロビンズはかなり指示的であるけれど、子どもに何をさせるかではなく、それをすることで子どもの心がどのように動いているかを重視していました。ノードフのような内面を揺さぶる音楽なら、心の根っこに働きかけることができるでしょう。


・「音楽は表現・発散以上のものを含む」(p285)とはどういうことか、という話題が出ました。セラピストと一緒に音楽をしながら自己が作られていったり、自分という感覚がはっきりしてきたりする。そして最初は混沌の中にいた自己が、徐々に自ら何が起きているかに気づき、繰り返しの中で意志を持って動きながら経験が深化していき、自己の変容につながっていく・・そういった事かもしれません。

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