内容:読書会 レイモンド・マクドナルド , デイヴィッド・ハーグリーヴズ, ドロシー・ミエル編著 岡本美代子(訳)(2011)「音楽アイデンティティ: 音楽心理学の新しいアプローチ」北大路書房 より、第11章『音楽療法における障害とアイデンティティ』(原著:Musical Identities. Front Cover. Raymond A. R. MacDonald, David J Hargreaves, Dorothy Miell. Oxford University Press, Jul 18, 2002)
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4月は、上記文献を題材に、“アイデンティ”という切り口から文献について、また音楽療法について、以下のような話し合いが行われました。
○音楽アイデンティと音楽療法
本書では、“音楽はコミュニケーションの基本的なチャンネルの1つである”、という大前提のもとで各章にわたり様々な角度から論じられており、最終章では音楽療法士によって執筆がなされています。また、アイデンティティは静的ではなく力動的なものであり、音楽は個人のアイデンティティ形成のプロセスにおいて、表現する手段の1つとしての役割を担っています。
第11章では、神経障害をもつ人々をクライエントにもつ音楽療法士によって、関係性の発展、クライエントの音楽体験を通した内的なアイデンティティの変容等について繊細に綴られています。即興演奏は、演奏という身体的行為を通した相互関係であり、結果としてクライエントのアイデンティティがよりこの好ましい自己感をもつ事ができるという考察がなされていました。
○感想
・神経学的な音楽療法に携わっている療法士が、必ずしも身体的なことや結果だけに注力し
ているとは限らないこと(目に見えるもの/見えないもののジレンマ)
・障害からくる付随的な動作など、考察においては繊細に配慮する必要があること。
・レクリエーションについて:本書の中では、音楽療法士は通常、レクリエーションには関
わらないと記載されているが、日本ではむしろこういった活動が求められる事が多い。
○音楽療法のアイデンティ
・教育現場で伝えられること、実際の現場で関わり手ができる事について
・音楽療法士としてのアイデンティティがいつ、どのように形成されたのかという話題 等