内容:広沢正孝(2018)こころの構造と機能とは(その3)-健常者と障碍者の共生に向けてー. 順天堂スポーツ健康科学研究 第9巻第1号 を読んでディスカッション
今回は、上記文献を題材に勉強会を始めました。文献の内容を切り口に、統合失調症や発達障害などの、主体/自己感に困難を抱える人々がどのように世界を感じているのか、そしてそれに対しセラピーでできることは何か、また参加者の担当するケースのピア・スーパービジョンなどにまで拡がりました。
文献の中に「近代西欧型自己(しかるべき自己像)」と「妄想世界の一例」を比較した図がありました。前者においては枠組みがしっかりしているので他者から侵入されることはないが、後者では枠組みが弱く、そのために心の内側に侵入されてしまう感覚がある(と思われます)。それでも自分らしく何とか人の中で生きていけるように、その人をどう支えていくか、音楽療法でできることは何だろうと話し合いました。例えば、透明なガラスのような後者の枠組みに多少色を付けて内側が丸見えにならないような状態にする手助けや、音楽をセラピストと共有しながらクライアントが(外から侵入されない)自分の世界を育てていくことなのではないかなどの意見が出ました。
参加者の一人の担当するケースについて具体的に話し合いながら、ClがThに一体化あるいは依存的になってしまうのではなく、Thを内在化できると一人で立つ力がつくのだろうという意見が出ました。そうなるには時間がかかるかもしれませんが、それでもClが侵入されるような感覚になった時、それをThあるいは別の他者に言語化することで自分を客観視できるという意見もあり、得難いピア・スーパービジョンの機会にもなりました。
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